2008年12月20日土曜日

英語の格好良さ

 日本で英語教育を幼い頃から始める利点の一つに、発音の流暢さが言われています。学校での英語教育でも、英会話学校の売り文句でも、人々の間でも、英語の発音の流暢さ(いわゆる英語圏の人々の発音にどれだけ近づくことができるか)が一つのステータスになり、また他人に自慢でき、他人もそれを羨むものになっています。日本語の発音は英語のものとはかなりかけ離れたものなので、習得がかなり難しく、だからその会得自体が高根の花的存在になってしまっているのでしょう。中には英語の発音を中心とした英語教材まで販売されている始末です。

 外国語大学に通う学生の中でも、かなりの人数が、英語の発音をアメリカ人風に、イギリス人風にできれば格好良い、日本語発音の英語は不細工だと思っているようです。(確かな人数や割合は詳しく調べていないのでここで示すことはできませんが)また英語の良い発音を目指すために留学を志す学生も少なくないようです。(確かにこれは留学を目指す学生の中ではごく僅かなようですが)私はこのような話を聞くと、いつも「なぜ日本語発音ではだめなのか」、「会話で一番重要なのは、発音ではなく内容なのではないのか」と問いかけたくなります。

 例えばアグネス・チャンはもう日本に来て35年以上たつが、未だに日本語の発音は完璧ではありません。しかしきちんと社会的地位を築き、大学の教授や日本ユニセフ協力大使等、様々な形で社会に貢献されています。パックンマックンのパックンも、彼はハーバード大学という世界に名の知れた優秀な大学を卒業した秀才でありながら、そして日本語も非常に上手でいながら、発音はまだ完璧とは言い難いものがあります。しかし彼も冠番組を持ち、家族をきちんと養われています。また和田あきこも、彼女は英語を堪能に操ることができないにも関わらず、彼女の今までの歌手人生の功績がアメリカで認められ、2008年9月29日にアメリカでポップミュージックにおいて聖地と言われるアポロシアターでライブを行いました。この人たちの例を見てみると、それ程外国語の発音だけに執念を燃やしても、どうってことはないと感じざるをえません。

 もちろん日本語と英語は発音においては似ても似つきませんので、英語の全てをローマ字読みすれば相手に英語が通じません。だから通じる英語の発音は学ぶ必要があります。しかし「通じる英語」であれば、もうそれは英語ではないのでしょうか。そして「上手い英語」とは、発音が上手いのではなく、自分の言いたい内容を相手に的確に英語で伝えることができる能力を兼ね備えていることではないのでしょうか。そして会話の中で意見をすることは、その人の人間性の現れではないかと思います。即ち、相手が外国人なのであれば、日本人と話す時以上に相手の異文化を理解した上で、相手を傷つけないように話さなければなりませんし、日頃から様々な事を経験し、勉強しておかないと、いざ誰かと会話をする時にも意見ができず、それではいくら英語の発音をきれいにできたとしても、それは宝の持ち腐れとなってしまいます。

 ですから、私が誰かに英語を教える時は(私のこのような未熟な英語を教えるなどということは誠に恐縮なのですが)、発音は相手に通じれば良い、それよりも英語を上達させるためには、まず自分を磨くこと。なぜならば英語は言語であり、言語は使う機会が無ければ意味がないものだから、といつも言います。

 外国語大学の一学生としてこのような意見を持つのに正当性が無いと批判されるかもしれませんが、少なくともこれは私の経験を元に私自身が見つけ出した意見です。

4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

>>外国語大学の一学生としてこのような意見を持つのに正当性が無いと批判されるかもしれませんが

ハ???????????

四段落目最高やン。
英語の流暢さよりもその中身ですよ。

この前新聞に東京外大の教授が全く逆の内容で
寄稿してやがった。
長文になるから詳細は省くけど
あいつは話す内容が大事なんて考えはないんやろうね。

あぁいうやからがいるからダメなんやなぁ・・・

Naoya Okuno さんのコメント...

よっしー> 久し振り!!いやいや、いつになってもよっしーは熱いなぁ~~。長いブログ読んでくれてありがとさんです。

東京外大の、しかも教授がそんなん言うとは・・・バカやな。ほな発音が大切て言うとったん?

あんなん言うから学校教育が発音を重要視して、他のほんまに大切な表現方法とかの学習時間が少ななるねんでな。

匿名 さんのコメント...

久々にブログ拝見^^
 
私もどうやって伝えるかより何を伝えたいかが大事だと思う。留学して自分が感じたことでもあるし、今仕事で英語に接してる身として日々感じることでもあり。

発音がうまかったり難しい単語を使えたりするのに越したことはないけど、それだけを求めるのってなんかさみしいなーと思います。

私も日々勉強です♪

Naoya Okuno さんのコメント...

Kaorin> せやんな、かおりんの職場では英語とか他の言語もいっぱい必要で、使う機会も多いやろうから、大変な思いしてるやろうな。色んなケースとか問題を解決する時って、発音の良し悪しは関係ないもんな。必要なんは問題解決策で、それを相手に伝えることやもんな。

オレも日々勉強していかんとあかんとつくづく思います。