2008年3月30日日曜日

1日の中に天国と地獄

 3月26日(水)、ず~~~~っと心配していた国際機関に関する授業の中間テストが終わり、心がすごく軽くなり、その日はテストが終わった状況を最大限楽しむために、グアダラハラに僕と同じ2年留学をしている友達がプエブラに遊びに来ていたので、その友達と散歩をしに行きました。

 プエブラ独特の町並みを紹介したり、この地特有の食事をしたり、とりあえずプエブラを満喫していました。そして路上で売っているおいしい食べ物を買い、公園のベンチに座り、ゆっくり今までの留学生活を二人で振り返りました。本当に僕たちにとって留学は素晴らしいものになりました。留学は、それをする人全員にとって必ずしも良いものになるとは限りません。留学をしたせいで人格が悪い方にかわってしまった人を僕たちは今までに何人も見てきています。決して僕たちが出来た人間というわけではありませんし、留学をしたから僕たちは成長できたと自負できる程人間性を高めれたとも思ってはいません。しかし本当に留学でだめになる人は世界中にたくさんいます。そのような留学の意味なども深く話をしていました。

 そして次にカフェに入り、コーヒーをすすろうということになりました。そこでも長い間話をし、清算をしようとした時です。ポケットにあったはずの財布がありません。そうです、スられたのです。そして、僕の懐まで軽くなったのです。

 すぐに諦めました。学生証、クレジットカード、郵便局のカード、2万円、知り合いの名刺、僕が小学校の授業中になぜか書いた「南無大師遍照金剛」という真言宗のお経の紙・・・全て失いました。(もちろんその後すぐに家へ帰り、カード類は停止をかけました。運よく、お金を使われてはいませんでした。)僕はこれらを失ったとき、もしも僕の財布を盗んだ人がすごく貧しい家の人で、その人の兄弟や両親に病気の人がいたとしたら、その2万円を医療費にあて、その病気が治ってくれればと自然に思いました。それと同時に、少し幸運にも思えました。もし僕がスリに気づき、抵抗をしていたら、ナイフで刺されていたかもしれません。(実際メキシコではそのような事件が多発しています)それを考えると、気づかなくてよかったとも思いました。

 日本人やその他先進国に住む方なら、この考えはおかしいと思うかもしれません。親が汗水流して稼いだ2万円を無駄にした上、それを盗んだ人をかばう様な考えをするなんてと思う人も多いと思います。しかしここはメキシコです。法的に定められた1日の最低賃金は約500円です。1時間ではありません。1日8時間でです。そして1日10時間働き、500円にも満たない給料しか受け取れない人も沢山います。しかしメキシコは本当に貧しい国ではないのです。政治家や一部の富豪が国にある全ての富を占領しているのです(事実、世界の富豪の中の第2位はメキシコ人です)。この状況の中に生活している人であれば、人の物を盗むという習慣が身につくのも理解できます。

 日本に帰り、仕事を始めれば、その2万円はすぐに親に返そうと思います。しかし僕はその2万円を悔やむよりも、相手の身になって考える大切さを学ぶことができたことを誇りにしたいと思います。

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