2003年10月から放送されたドラマ「白い巨塔」が大ヒットし、そのドラマのテーマ曲が"Amazing Grace"でした。このドラマではニュージーランド出身の歌手、ヘイリー・ウェステンラ (Hayley Dee Westenra) が歌った"Amazing Grace"が使用されましたが、この曲の歴史は古く、1700年代中頃までさかのぼります。そしてこの曲には、人類は皆平等という意味がこめられています。
1700年代中頃は、イギリスからアメリカへの黒人奴隷貿易が盛んでした。黒人はアフリカからイギリスへ渡り、船でアメリカへ運ばれていましたが、その船の中、そしてアメリカでの黒人に対する扱いは、家畜以下でした。船旅の途中、船内の衛生環境が非常に悪かったため、感染症、脱水症状、栄養失調が原因で多くの奴隷がアメリカへ到着する前に命を落としていました。
"Amazing Grace"の生みの親、ジョン・ニュートン (John Newton)は1725年イギリスで生まれ、この奴隷船の船長を務めていました。当初は彼も黒人に対して酷い扱いをしていました。
彼が22歳の頃、航海中に嵐で船が沈没しそうになり、キリスト教徒であるジョン・ニュートンは生まれて初めて心から神に祈りました。そして奇跡的に船は嵐を抜けることができました。
その後も彼は奴隷船の船長を務め続けましたが、黒人に対する扱いは改善され、人間として振舞われるようになりました。
彼はこの職を引退後、牧師となり、「白人と黒人は平等」という願いを込めて、この曲を賛美歌として作りました。作詞はジョン・ニュートンですが、作曲は正確には知られていません。
詩に平等に対する願いがこめられているのはもちろんなのですが、実はこの曲の音色にも、白人と黒人のコラボレーションがあったのです。牧師であり、賛美歌の歌手であり、恵まれない子供へ無償で教育を与える団体"US Dream Academy, Inc."の代表であり創設者、Wintley Phippsは、次のように説明しています。
「白人の賛美歌はピアノの白い鍵盤で、黒人の賛美歌は黒い鍵盤で構成されています。そして"Amazing Grace"は、白人の賛美歌で、音色もハーモニーも白人の賛美歌が基本となっています。しかしこの歌は、黒の鍵盤5つで弾くことができます。これは、ジョン・ニュートンの”人種差別撲滅”の願いが込められているのです。」
You Tubeでその場面を見つけたので、ここにリンクを載せておきます。ぜひ観賞してみてください。そして、もし家にピアノやオルガンがある方は、一度黒の鍵盤だけでこの歌を奏でてみてください。見事に弾くことができます。
(この映像の中でWintley Phippsが使っている単語"spiritual"とは賛美歌の事で、白人の賛美歌は英語で"hymn"ですが、黒人の賛美歌は"spiritual"と呼ばれます。)
先ほど、ルームメートのアメリカ人が見てるテレビからたまたまこの曲が流れ、歌詞を探し、You Tubeで歌を聴きたいなと思ったところ、たまたまWintley Phippsが歌う"Amazing Grace"を見つけ、彼の話を聞き、感動したので、ブログに書いてみました。あまり難しい英語でもないし、ゆっくりと話しているので、出来れば直接彼の話を、彼の声から理解してみてください。すごく深みのある話をしています。絶対泣けます!!!!!
Amazing Grace! How sweet the sound
That saved a wretch like me!
I once was lost, but now am found,
Was blind, but now I see.
'Twas grace that taught my heart to fear,
And grace my fears relieved;
How precious did that grace appear,
The hour I first believed!
Through many dangers, toils and snares,
I have already come;
'Tis grace has brought me safe thus far,
And grace will lead me home.
The Lord has promised good to me,
His word my hope secures;
He will my Shield and Portion be,
As long as life endures.
Yes, when this flesh and heart shall fail,
And mortal life shall cease;
I shall possess, within the veil,
A life of joy and peace.
The earth shall soon dissolve like snow,
The sun forbear to shine;
But God, Who called me here below,
Will be forever mine.
When we've been there ten thousand years,
Bright shining as the sun,
We've no less days to sing God's praise Than when we'd first begun.
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